研究概要
本研究では、動画投稿に特化したSNSであるTikTokを題材にし、TikTok公式から発表された2021年と2022年のTikTok内での音楽ランキングから流行している楽曲をKH Coderを利用した歌詞分析を行った。
形態素解析(mecab)から、テキストマイニングを行い特徴量を計量し抽出量や抽出した形態素の品詞や語句から楽曲特有の表現を分析し、階層的クラスター分析を用いた歌詞分析から視聴者、投稿者といったTikTokユーザーの歌詞表現の趣向を明らかにする。
現代のSNSの文化や社会の理解に貢献することを目的とした研究である。
研究目的
現代の若者の流行の中心で TikTok が利用され、 ビジネスにも度々利用されていることがわかる。
その TikTok のショートムービーには、音楽を BGM にした動画、 音楽に合わせてダンスする動画が存在する。
本研究では, 現代の SNS の文化や社会の理解に貢献するとともに流行する歌詞表現について明らかにする。
研究方法
分析対象の曲は、日本国内においての2021年と2022年にTIKTOKの公式から発表されたTIKTOK内でいいねを獲得した楽曲ランキングトップ10と楽曲投稿数ランキングトップ10の2つから分析する。
各ランキングの曲名と順位の図である。一列目は、曲名と年数、Aはいいねを獲得した楽曲のランキング、Bは楽曲投稿数のランキングを示す。
分析は大きく2つに分けた。
1つ目は、形態素解析から形態素の抽出量を計り、形態素の品詞や語句の表現について分析する。
2つ目は各ランキング楽曲の表現の類似性を階層的クラスター分析で表現の類似性を分析した。

分析結果
分析1
形態素解析の特徴量の分析から、20曲中4曲が恋愛歌であることが分かった。形態素の特徴量として擬音語や未知語,語感を意識した表現が多く使われていることが分かった、歌詞に外来語や現代のSNSを表す固有名詞が用いられている楽曲が使われていることが分かった。
分析2
[2021A]
楽曲の対象となるのは『Bluma to Lunch』、『TEENAGE VIBE』、『グッバイ宣言』、『シル・ヴ・プレジデント』、『ヨワネハキ』である。クラスターは8つである。『ジャスティス』や『BLOOM』など楽曲ごとの特徴的なフレーズを中心にクラスターを形成していることが分かる。2021年Aのクラスター分析である。

[2021B]
楽曲の対象となるのは『Bluma to Lunch』、『TEENAGE VIBE』、『グッバイ宣言』、『シル・ヴ・プレジデント』、『ヨワネハキ』である.クラスターは8つである。『ジャスティス』や『戦争』などその楽曲のコンセプトやフレーズごとにクラスターを形成することが分かる。『音、聴く』と『歌、聴こえる』が近くに配置されていることが分かる。クラスター分析である。

[2022年A]
楽曲の対象となるのは『melt bitter』、『Paku』、『エジソン』、『おとせサンダー』、『可愛くてごめん(feat.かぴ)』,『だいしきゅーだいしゅき』,『タイミング ~Timing~』,『チグハグ』である.クラスターは9つである.『エジソン』や『ちぐはぐ』などその楽曲特有の表現などがクラスターを形成していることがわかる,『無い,尊い,重い,思い,好き』といった形容詞がまとまりを形成していることが分かる.

[2022年B]
楽曲の対象となるのは『DARARI』、『Paku』、『Partner』、『W/X/Y』、『エジソン』、『おとせサンダー』、『だいしきゅーだいしゅき』、『タイミング ~Timing~』、『チグハグ』である.クラスターは9つである。『嫌』といったネガティブな表現や『愛しい』、『愛』といった愛情を表現するといった、感情を表す表現などが結びついていることが分かる。

分析2まとめ
楽曲ごとの特徴的なフレーズやコンセプトの特色が濃く、楽曲間の歌詞の類似性はほとんどないことがわかる。
TikTokではその楽曲特有のコンセプトを持ったインパクトのある歌詞が好まれる傾向にあることが分かる。特にいいねを獲得する曲はその傾向があることがわかる。
今後の課題
今回は形態素に着目した分析を行なったが、造語やその楽曲特有の表現や語感を意識した表現、話し言葉が使われているため、テキストマイニングが充分にできていない箇所が見られたため文節を意識した分析をする必要がある。
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