大阪電気通信大学

イメージの傾向と文字デザイン

●「イメージの傾向と文字デザイン」とは

調査によって考えられる特徴を持った文字デザインを制作する。

「卒業制作」という形式ではあるが、

  1. 傾向の「調査」
  2. 調査を元にした「制作」
  3. その「制作過程

この3つに重点を置いている。

●この卒業制作の目的

  • 自分自身の「テーマやイメージを描き分ける能力」を高めること
  • 作品の魅力を追求するための文字デザインの重要性を示すこと

●卒業制作テーマ決定のきっかけ

ゼミの活動の中の「ゼミ生の相互授業」にて、
私は「ゲームで使用されている文字のデザイン」についての授業を行なった。
文字が使用される場面や、ゲームの個性づけによって、
文字のデザインの特徴が大きく変化するのは面白いと感じている。

相互授業のためのプレゼンスライドの制作中、ずっと思っていたことがある。
それは、主に日本語翻訳された海外のゲームにおいて、
ゲーム内のフォントが細字のゴシック体になっていて、
作品の世界観に合っていないと感じることがある。

 →なぜ「世界観に合っていない」と感じるのだろうか?

 →ゲームに限らず、文字には、特定のテーマや雰囲気を感じやすい形や色が存在するのではないか?

このようにして、卒業制作のテーマを決定した。

●制作作品

テーマ「フューチャー(未来)」
テーマ「スペース(宇宙)」
テーマ「ホラー」
テーマ「スポーツ」
テーマ「メルヘン(童話)」
テーマ「レトロ(昭和レトロ)」

 

●制作を終えて

文字の形や色が特定のテーマを感じやすくさせる効果は確かにあると実感した。
色によって見る側にもたらす心理効果が異なるのは多くの人が知っているだろうが、
形による心理効果の違いはあまり浸透していないように感じる。

「誰が見ても思い通りのテーマを感じられる文字デザイン」を作ろうと思うと、
調査・研究、そして制作にかなりの時間を消費してしまうだろうが、
作品の魅力を追求するためには、文字の形や色といった、
文字のデザインに対して向き合うことが重要であることを知ってほしい。

●制作過程

◆制作ステップ

[調査部分]
一般的に用いられているイメージの種類の調査
  ↓
卒業制作で使用するイメージの選出
  ↓
選出したイメージが用いられている作品の調査
  ↓
イメージごとの文字デザインの傾向の調査
  ↓
[制作部分]
傾向に沿った文字デザインの制作

各段階で制作過程をメモしておき、最終的に整理して公開する。

◆一般的に用いられているイメージの種類の調査

検索をしてもイメージの種類をまとめたサイトが見当たらない。
細かく分かれるイメージ
を含めるとキリがない。

◆卒業制作で使用するイメージの選出

今回は分かりやすさを重視して、「そのイメージに独自の世界観があるもの」として以下のイメージを選出。

  • フューチャー未来・近未来を舞台にした作品のイメージ。
  • スペース宇宙を舞台にした作品のイメージ。
  • ホラー恐怖感を味わうことを想定されて作られた作品のイメージ。
  • スポーツ…運動競技がテーマの作品のイメージ。
  • メルヘン童話作品で描かれる世界のイメージ。
  • レトロ時代劇作品のイメージ。今回は「昭和レトロ」でテーマを決定。

◆選出したイメージが用いられている作品の調査

テーマ名のみで調べても案外作品は出てこない。
複数のイメージが合わさった作品も存在する。
各イメージの用いられやすい媒体(メディア)が異なる。

まずは作品数の充実に念頭を置いた。
 →1つのイメージにつき50枚画像を集め、表にして並べた。
画像が掲載されていたサイトのURLも記述した。

※著作権の都合上、モザイク処理をしています

◆イメージごとの文字デザインの傾向の調査

デザインを決定するために文字の要素の種類を挙げる必要がある。

  • 文字の形の特徴
  • 文字の太さ
  • 文字のそれぞれの大きさ
  • 文字の色
  • 文字の色数
  • 背景の色
  • 縁取りや光彩などの特殊な効果
※著作権の都合上、モザイク処理をしています

これらの要素を、それぞれのイメージごとに考え、表を作って埋めた。
既存のフォントの中から、選出したテーマに当てはまるフォントも参考にする。
イメージごとに傾向の幅にばらつきがあったため、埋めやすさがそれぞれ異なった。

◆傾向に沿った文字デザインの制作

制作のきっかけを考えればひらがな・カタカナを制作したかったが、
文字数が多く、全てのイメージ分作るには時間が足りない
 →アルファベット大文字のみを制作。

使用ソフト:ibisPaint(iPad)

フォーマット

フォーマットを作成して、大きさや形の基準を決定
  ↓
フォーマットをもとに文字の形を制作
  ↓
文字の色と、背景の色を決定する
  ↓
ブラッシュアップを繰り返す
  ↓
 完成

当初はこの文字デザインを用いた画像作品の制作まで予定していたが、
制作した文字デザインの質を上げるために、文字デザインの制作までに変更。

作者プロフィール

越智 星輝

ゲーム&メディア学科 ビジュアルコミュニケーションデザイン研究室(渡部研)所属

 

コメント


上田和浩2023-02-11T14:20:02

 個性的なフォントで興味深かったです。色表現を想定したものが多かったですが、カラーフォントを意識したのでしょうか。それとも通常のフォントとしてデザインしたものを加工したイメージでしょうか。(Photoshopで入力した後にアクションで後処理を掛けるような感じ…)

HB19A0252023-02-11T18:33:11

コメントありがとうございます。
卒業制作のきっかけがゲームのUIであり、ゲーム内フォントとして使用することを想定して制作しています。
色使いに関しては、タイトルロゴでの使用を想定して色付けをしました。
イメージを「文字がもつ要素」で表現することに重点を置いています。